台風の直撃は避けられた。
いい具合に雨も降ってくれた。
東京から来るNさんと、伊那のどこかの谷に入ろうかと言っていたが、暴れる伊那の谷より木曾の谷か、奈川あたりのほうがいいのじゃないかということになって、前日に奈川のFFで有名なペンションを予約した。
藪原駅前の駐車場で落ち合い、笹川沿いに境峠を越え、奈川に向かう。
出発前は「曇りから晴れ」という天気予報だったので午前中とイブニングに期待した。
ところが・・・朝から雨。しかも結構降っている。シトシトなんてもんじゃない。
携帯で天気予報を再確認すると、えー!1時間ごとの予報が夕方まで全部傘マーク。
「なんとかと秋の空」じゃないけど、この天気予報は何??
境峠を越えると奈川の支流、境川は濁流だった。
????これしきの雨で、なんで?工事か何かの影響なのだろうか?
幸い奈川の上流部や他の支流には濁りはなかった。
あの濁りはなんだったんだろう?
それにつけても、のっけからレインギヤを着ての釣りである。
<バンブーのショートロッドにシルクラインのNさん>
水量はいい感じなのだが、結構強い雨に、ドライフライもすぐに沈んでしまい、メンテナンスが大変。
なんやかんやポイントを変えて釣り上がるが、結構釣り人も多い。
あと2週間で禁漁だからなあ。
雨の中、釣れたのは20センチほどの可愛いイワナだけだった。
ダム方面に向い、名物の「とうじそば」の昼食を食べた。
ラクロスのスティックの小型のような「とうじカゴ」に入れたそばを、きのこや山菜が入っている鍋の熱い汁で湯がくようにして、その汁を取り分けたお椀に入れて食べる。
雨で冷えた身体においしかった。(
写真は奈川観光協会のHPより)
「とうじそば」の名前は蕎麦を鍋に「投じる」からきているとか。
午後に入ったある支流のテロンとした流れで、やっといい「ヤマメ」が出た。
そういえば「ヤマメ」は久しぶり。
リリースした後、写真で改めて朱点がないのを確認した。
奈川が梓川、犀川、信濃川となって日本海に注ぐ川だということを、改めて思いだした。
神奈川県西部から九州の一部の太平洋に注ぐ川がアマゴで、それ以外はヤマメ。
境峠の藪原側の笹川は木曾川の支流で太平洋へそそぐ。だから「アマゴ」。
放流で混乱しているところもあるが、ヤマメが釣れるべき川でヤマメが釣れてよかった。
しばらく上流に行くと、イワナの25センチが釣れた。Nさんが1匹釣って、交替したすぐ上のポイント。一投目だった。
背中の模様はボケているが、元気なニッコウさん。
ポーズをとらせるが、すぐにネットに頭を突っ込んでしまう。
雨は相変わらず・・・降ったりやんだり。
渓を詰めていくと、釣り人に出会う。人が多い。
人も多いが「キバナツリフネソウ」も多い。可愛い花だ。
先週の開田はピンク色の「ツリフネソウ」が多かったのだが・・・
20センチくらいのイワナを何匹か釣った後、イブニングに大物を期待したが、雨、雨、雨で不発。
宿に戻って、ワインとおいしい食事で、同宿のFFとともに翌日の「曇りから晴れ」の予報に、期待をつなぐ。夜中も雨音が途切れなかったようだ。
開田に入っていたMちゃんに、いいヤマメとイワナが釣れたことを写メしたら、夜、25センチのアマゴと27センチのイワナが釣れたという返信写メが来た。
チキショー!負けた!
翌日、朝食前に、奈川の上流部で2時間ほどロッドを振ってみる。
雨は上がっていた。予報も、曇りから晴れ。
しかし、結局は渓に入ってすぐに出た20センチほどのイワナが1匹のみだった。
ペンションにもどって朝食。
ヨーグルトにキウイジャム、スープ、トースト、ハッシュドポテト、卵とソーセージ、サラダという正しいペンションの朝食だった。おいしくて、ペロリ。
さて、出かけようかというタイミングで雨が降り出した。なんじゃこりゃ。
天気予報を再度確認すると夕方まで雨マーク。
うそつき!さっきの予報とはえらい違い。
本気で降っている雨の中、柳の下を狙って開田高原へ行くことにした。
途中は、陽が射したり、雨が降ったりの変な天気。
川に着くと、雨は上がっていた。
とりあえず、Nさんには、Mちゃんに聞いた実績ポイントに入ってもらう。
私は、その上に。
私は、なんとか25センチのイワナと20センチのアマゴを釣ったが、Nさんはイワナの小さいのしか出なかったらしい。Mちゃん・・・荒らし過ぎ。
「お前なんかに釣られて悔しい」という表情?のアマゴさん。雨粒がレンズに付いていた。
フライは16#のオリーブボディのパラシュート。
昼食は西野の集落にある旅館嶽見の「そば処たけみ」のざるそば2枚。
やっぱ、こっちへ来たら昼食はそばでしょ。
「3たて」だから不味いわけがない。そばつゆが少し薄めで味醂が足りないのは好き嫌いがあるかもしれないが・・・
昼食後に狙いの川に入る。
10分ローテーション、釣るかバラスかトラブルで交替のルールで釣り上がる。
Nさんは「出るけど乗らない」「出てもサイズがイマイチ」状態で、悔しがっている。
なんとか、大物を釣ってもらいたいと、途中から先を進んでもらうが・・・雨が降ってきた。
青空が出ていたので、レインギヤを車に置いて渓に入ったら、これだ。
再度確認した天気予報では、午後は雨が降らないはずなのに・・・ズブ濡れ。
せっかく乾きそうになったベストもぐじゅぐじゅ。
渓から上がる寸前、私は最後の一つ手前の淵で尺近いイワナをバラした。
フッキングが甘かった。一瞬の出来事だった。雨で眼鏡が曇って集中力が落ちていたのか・・・
それまでのサイズとはまったく違う大きさ・・・
それで気が抜けたのか、最後の堰堤下では、Nさんが上から見ている前で、小ぶりなイワナも掛け損ねた。
あー!
車に戻って少し走ったら晴れてきた。
青空!・・・なんじゃこの天気。
携帯で見る天気予報も、クルクル変わっている。
木陰にクルマを停めてイブ近くまで休憩。風が心地よい。
Nさんは、ガーゴーと高イビキ。
私は、ベストやシャツをクルマの外にぶら下げ乾かす。
イブニングを前に、Nさんは、やっと22センチほどのアマゴを釣った。
で、これは・・・と、イブニングに期待したが、どうしたことか、ハッチもほとんどなく、ライズもチビライズのみ。
暗くなった川辺でウエーダーを脱ぎながら
「変な天気だったね」「イブは不発でしたね」
「どうしちゃったんだろ」
「それでも楽しかったなあ」
「また、来年・・・」
そんな会話を交わし、11月の信州の管釣りでの仲間との再会を約束して、お互い帰途についた。
しかし、つくづく思い知った「〇〇〇心と秋の空」であった。